「やる気」に頼らない学習

1、2年生は、今日から期末テスト1週間前に入りました。その関係で部活動も期末テスト最終日の3月4日(金)まで停止となります。今年度最後のテストなので、来年度につながるように、時間を有効活用し、がんばってほしいと思います。

先日、ある冊子を読んでいましたら、興味深い記事が載っていました。東京大学薬学部教授の池谷裕二先生が神経生理学の視点から学習について書かれたもので、「学習はやる気を出して取り組んではダメ」というようなことが書かれていました。一見おかしなことのように思い、よくよく読んでみると「なるほど」と納得しました。大まかな内容は次の通りです。

脳には側坐核(そくざかく)という部分があって、そこが活性化すると「やる気」がでることがわかっています。そこを活性化させるためには、「何か楽しいことを想像する」のがコツ。私たちは何か楽しいことがあれば笑いますが、実験結果では逆向きの矢印、すなわち「笑うと楽しくなる」ことがわかっています。つまり、身体がスイッチ、トリガーになって心や感情が生まれる。例えば、掃除はいやいやでも始めると気分が乗ってきます。脳は作業を始めることにより興奮してくるそうです。これを専門用語で「作業興奮」と言うようです。つまりは、「やる気は行動の原因でなく結果」ということです。これを学習に置き換えると、勉強の「やる気」は、やり始めないと出てこないため、「やる気」が出るまで待つのでなく、時間になったら粛々と始めることが大切だということになります。言い換えると「やる気」に依存しない学習習慣をつくることです。これを専門用語では、「システムに従う」と言うそうです。これに関して、米国イリノイ大学での興味深い実験があります。やる気を出してもらい、「やるぞ」と気合を入れてから仕事を始めるグループとそうでないグループで最終的にどちらが仕事がはかどるのか調べたそうです。結果は、後者のグループが前者の1.5倍くらいパフォーマンスが高いという結果が出ました。やる気の最大の欠点は一過性、つまりその場限りではいいけれど、すぐに冷めてしまうということです。勉強や仕事で大切なのは、最大瞬間風速のような、その場のすごいモチベーションでなく、継続できる力であると述べていました。

以上のことから、時間を決めて勉強に向かう習慣が大切だということがわかります。たとえ気分が乗らなくても、とにかく勉強机に座り、やるべき課題に向かう。見たいテレビやスマホ・ゲームは我慢して、時間が来たらとにかく勉強を始めることが成果をあげるコツとなるようです。1,2年生はもちろん、3月に高校一般入試を控える3年生もこれを参考して、悔いの残らない取組をしてほしいと思います。